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AMAKOMA-YA
「異世界の聖機師物語」を観ましたよ。初めてアニマックスのPPVインフォメーションで主題歌が流れているのを見た時に、初っ端が人物と建物を真横から見た構図で、次に崖に左右を挟まれた一直線に伸びる森に続くカットだったので、「OVAなのに手抜きっぽいなー、ダメっぽそー」と第一印象が最悪だったのですが、実際に観てみると手放しで褒められる面白いアニメでございました。個人的には最高評価の部類(A+)に入ります。

ジャンルとしては有りがちな「異次元に召喚された少年がヒーローになるロボットもの」「主人公の少年が女性にもてまくるハーレムもの」。この手の作品は既に出尽くした感がありますが、「異世界の聖機師物語」では背景(聖機師が特別な体質を要する誰でもなれるわけではない特権階級であること、聖機師の男女差が女性側に極端に偏っている事、聖機師の子を残す為に男性聖機師は種馬的存在として蝶よ花よと扱われている事、一般的な男性聖機師は待遇に慣れきっていて不甲斐ない人間ばかりという事、一方で主人公である征木剣士は元の世界で祖父や姉から剣・狩猟・家事etcを叩き込まれた万能人間である事)や、各ヒロイン達と出会い・好かれるに到る経過がきっちり描かれています。ありがちな「主人公の少年が女性にもてまくるハーレムもの」だと、何の取り柄もない少年が何故かもてまくったりして納得いかないものがほとんどですが、これならば違和感なく受け入れることができます。また、「征木剣士がラシャラに従者として取り立てられる」→「聖地と呼ばれる学園で下働きをする」→「働きが認められて生徒として通うようになる」というストーリー展開とともに世界観が掘り下げられていく描き方は見事でございました。伏線の張り方や回収の仕方も見事で、第一話から最終話まで中だるみが一切ありません。制作において構成や演出で時間をかけたんだろうなー、という印象。

また征木剣士の台詞の端にアニメ「天地無用!魎皇鬼」との関連が示唆されていたり、征木剣士のセレスやダグマイヤへの対応や表情を見るに元の世界で挫折なり葛藤を経験した事がある事が窺えて、良い感じでございました。ヒロインたちも表情が良く変わって、その時その時の感情の機微がよく表現されておりました。

最後に念の為に述べて起きますが、オープニング主題歌の冒頭で描かれている「崖に挟まれて一直線に伸びる森」は手抜きでもなんでもなく、世界観的に理由があります。本編を観て見ると理由はすぐにわかるものではあるし、設定を生かした描写が多々あるので内容を知ると愛着のわくOPであるのですが、自分が受けた第一印象を思い返すにOPのはじめの数秒足らずでかなり損をしているアニメだと思います。