熊本の妖怪
むかし、古里の田頭に「こんじんどん」ちゅう神さんがおらったげな。こん神さんなあんまり目立たんじゃったばつてん、いさぎゅう運の良うなる神さんで、お参りすれば金がようぬさるちいわれとった。
ある日、村ん衆が寄り合いばして村ん中に農道ば造るごて決めた。ところが具合の悪かこてな、そん道ば通すところに金神どんが座っとらすもんじゃっで、ほかんとこれ移さんばんごつなったったい。金神どんな石でできとったで、村ン長老どんが代表で金神どんにお願いばせらしたげな。
「金神どん、金神どん、村中で話し合いばして、こげ農道ば造るごつ決まったで、ほかんとげ移ってもらわんまんばってん、移ってよかれば軽うならんな。移るごたなかなら重うならんな」と頼まったちたい。そしたら、いつの間にか軽うならしたげな。 お陰で何か月か経って素晴らしか農道が出来上がったそうな。
金神どんば移したところは石で囲み、回りに南天の木ば三本植えて、村中で祀ったそうたい。なして三本植えたか、その訳は誰も知っとるもんなおらんじゃった。また、そん訳ば詮索するもんな銭のぬさらんごつなるち言われ、尋ぬる者なおらんじゃったそうじゃ。
今じゃ南天が何本も生えており、石も無くなってしもうたので、どれがどれだかわからんごつなってしもうたたい。
(注)ぬさる……授かるの意
水俣市史「民族・人物編」より
http://www.city.minamata.lg.jp/971.htmlこの「金神どん」というのは元は陰陽道の金神のことだったと思うんですよね・・・。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E...それが信仰が失われていくうちに名前が縁起がよさそうなので性質が変化した挙句、このような民話として残ったのではなかろうか、と。なので、既存の金神の絵をトレースして福の神っぽい要素を付け足して改変、性質の変化と朽ち果て忘れられていくさまを描いています。
むかし、古里の田頭に「こんじんどん」ちゅう神さんがおらったげな。こん神さんなあんまり目立たんじゃったばつてん、いさぎゅう運の良うなる神さんで、お参りすれば金がようぬさるちいわれとった。
ある日、村ん衆が寄り合いばして村ん中に農道ば造るごて決めた。ところが具合の悪かこてな、そん道ば通すところに金神どんが座っとらすもんじゃっで、ほかんとこれ移さんばんごつなったったい。金神どんな石でできとったで、村ン長老どんが代表で金神どんにお願いばせらしたげな。
「金神どん、金神どん、村中で話し合いばして、こげ農道ば造るごつ決まったで、ほかんとげ移ってもらわんまんばってん、移ってよかれば軽うならんな。移るごたなかなら重うならんな」と頼まったちたい。そしたら、いつの間にか軽うならしたげな。 お陰で何か月か経って素晴らしか農道が出来上がったそうな。
金神どんば移したところは石で囲み、回りに南天の木ば三本植えて、村中で祀ったそうたい。なして三本植えたか、その訳は誰も知っとるもんなおらんじゃった。また、そん訳ば詮索するもんな銭のぬさらんごつなるち言われ、尋ぬる者なおらんじゃったそうじゃ。
今じゃ南天が何本も生えており、石も無くなってしもうたので、どれがどれだかわからんごつなってしもうたたい。
(注)ぬさる……授かるの意
水俣市史「民族・人物編」より
http://www.city.minamata.lg.jp/971.html
この「金神どん」というのは元は陰陽道の金神のことだったと思うんですよね・・・。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E...
それが信仰が失われていくうちに名前が縁起がよさそうなので性質が変化した挙句、このような民話として残ったのではなかろうか、と。なので、既存の金神の絵をトレースして福の神っぽい要素を付け足して改変、性質の変化と朽ち果て忘れられていくさまを描いています。