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伝承妖怪お題絵:第18回
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ムチ:高知県高岡郡黒岩村に伝わる。田の上で鞭を振り回すような音で強い風が吹き、これに当たると病気になるという。(『綜合日本民俗語彙』など)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の6月のお題。ムチなので駄洒落でムッチリした女性を描こうというのが方向性その一。ムチを振り回すような音とあるけども、長いロープ状のムチよりも牛馬を叩く棒状のムチの方が歴史が古そう(昔の中国で鞭打ち刑というと棒状のムチで叩く刑だし、日本に入ってきたのも先かな、と)なので、そちらを持たせようとと思ったのが方向性その二。最後にプリミティブな感じにしたかったのでアフリカの民族衣装っぽくしたらこんな感じに・・・。あと、twitterの瓶詰妖怪の文では省かれていますが、牛馬に取り憑いて病にしたり殺したりする特徴もあるそうなので、その要素も描きいれました。でも配置しただけ、みたいな絵に仕上がったので、素直に画面下を遠景の田んぼにしておいた方がよかったかも。
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伝承妖怪お題絵:第17回
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縄簾【ナワノウレン】:京都に現れたという。雨の降る夜に、ある所を通ると、何かが顔にかかって進むのを妨げてくる。無理に通ると後ろから傘の「ろくろ」の部分を引き止めてくる。これもやり過ごすと何もなくなるという。(高古堂主人『新説百物語』)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の5月のお題。うどん屋や蕎麦屋、居酒屋なんかに縄の暖簾がかかってる店が稀にあったりしますが、普通の布製の暖簾よりもうざったいんですよね。手で一回払っただけではうまく払えなかったりして。この妖怪は傘が風を受けて引っ張られる現象のうざったさを、縄の暖簾のようと形容したのが発祥ではないでしょうか。ろくろの部分を引き止めるとのことですが、傘のろくろはは風で引っ張られた時に力がかかる部分だし。


半透明の縄の暖簾が傘にからみついてる絵にしようかと思って下描きしていたのですが、あまりにまんまだよなと途中で変更してこんな絵になりました。
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伝承妖怪お題絵:第16回
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オマク:オネキとも。岩手県遠野市に伝わる。生者亡者に関わらず、怨念や愛着恋慕の情が凝結して、形や声をなすという思想。幽霊とは別物とされている。(柳田國男『遠野物語』、佐々木喜善『遠野のザシキワラシとオシラサマ』)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の4月のお題。「幽霊とは別物」とのことなので差異を出したかったけど、結局出せず。難しいお題でした。
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伝承妖怪お題絵:第15回
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とりけ:香川県の丸亀地方に伝わる。鉄道の踏切や川、池などで変死がよくあるのは、先にそこで死んだ者が離れずにいて、通りかかった者を誘うからだという。(立花正一『郷土研究』七巻二号「讃岐丸亀地方の傳承」

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の3月のお題。「とりけ」の漢字はどう当てるのでしょうね。取(り憑く)気(配)、取(り憑く物の)怪かな。高橋葉介先生の学校怪談で川岸に幽霊が数人並んでる話があるけど、文章を読んで最初に抱いたイメージがそれだったので、イメージを遠ざけるために人間をあの世に引き込みたい獣のような欲求ということで獣と人間の合いの子のような外見にしてみました。


【2013年3月23日13時追記】
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twitterで

氷厘亭氷泉@hyousen 4時間前
トリケ 同場所で続いて変死がある時 あそこはトリケニナットルという。 ◆三宅周一「葬送習俗語彙(仲多度郡)」(『民間伝承』5巻11号)

との事なので「とりけ」とは妖怪名ではなく場所的な、取(り憑かれやすい)圏(内)とか、そんな感じの字を当てるのでしょうかねー。
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伝承妖怪お題絵:第14回
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ボーロ:大分県北海部郡海邊村に伝わる。村の中央にある椋の木の下の笹薮から、これがポーと出て丈高く立つ。下から見ると消えてしまい、伐ろうとしても切れないという。(瀬川清子『民間伝承』五巻一号「怪異」)

直立・真正面の構図が続いて何ですが、twitterでやっている伝承妖怪お題絵の2月のお題です。顔をボーロの文字にしようというアイデアしか浮かばなかったんじゃよ・・・。
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伝承妖怪お題絵:第13回
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静か餅【シズカモチ】:下野益子辺では夜の丑時に「コツコツコツコツ」と、遠方で餅を搗く様な異音が人によって聞えるか聞えないことがある。その音が近づくのが聞えた人はシヅカモチを搗き込まれたといい、運が向いてくるという。音が遠ざかるのが聞えた人はシヅカモチを搗き出されたといい、運が行ってしまうという。さらにこの音を迎えて聞えた人は箕を後向いて出すと財産が入ってくるといわれる。(平島吾一『芳賀郡郷土研究報』一号「シズカモチの話」)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の1月のお題。搗(つ)き込まれるという表現からして杵と臼がセットなのかなー、という事でそのままのイメージで描きました。音の怪異ということでボケた感じにしています。

何かの自然現象が元となってるのでしょうね。音の表現のみから推測するとキツツキっぽいような気もしますが、基本的に鳥目だろうし・・・。もしかしたら夜行性の種や時間感覚が狂った個体がいたのかも。

それはさておき、音をたてる妖怪のくせに「静か」とはこれいかに。
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伝承妖怪お題絵:第12回
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煤け提灯【ススケジョーチン】:新潟県に伝わる。暑苦しく、雨の降る晩に、火の玉がフワリフワリと飛び回る。葬式の時の湯灌で使った湯の捨場から飛び出すという。(『高志路』五巻十一号「地言葉と農民生活(三二)(送葬篇)」)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の12月のお題。「煤け提灯」という名は、煤けた提灯越しに見えるようなぼんやりした明るさの怪火ゆえなのだと解釈しました。提灯模様は必要ないと思いましたが、名は体を表すということで描き込みをば。

ただ困ったのが湯灌の湯の捨て場。ざっと検索にかけたところ、床下などの日のあたらない所に捨てるとあるのですが・・・。これって一般家庭の話かな?怪火が発生するほどとなると、日常的に湯が捨てられていた、すなわち寺の一角に捨て場があるものとして描いています。剃った毛髪も一緒に捨てられてる、みたいな感じで。
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伝承妖怪お題絵:第11回
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サンタツ:和歌山県伊都郡に伝わる。深山に棲む魔物であり、鼬の類であるともいう。猫に似て尾が長く、畑の茄子を取りに来るという。(高瀬敏彦『郷土研究』四巻一号「紀州伊都郡俗信」)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の11月のお題。妖怪の川獺の有名な絵のように、「おまえのツラのどこが川獺やねん」みたいなアレンジを加えたくもあったのですが、結局は普通に尾が長いイタチみたいに描きました。9月のお題の布がらみをカワウソとして描いちゃったので差を出すのに少々困ったという噂。イタチ・オコジョ・テン・カワウソって身体の大きさは別として見た目が似てるんですよね・・・。
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伝承妖怪お題絵:第10回
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オクポ:埼玉県日高町(現日高市)に伝わる。暗い大木に寝泊まりしていて、暮れ方になると鳴くという。子供がよく泣くとこれが来るという。オクポが聖天院で鳴くと人が死ぬが、向山で鳴くと晴れになり、いいことがあるという。(日高町教育委員会『日高町史 民俗編』)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の10月のお題。最初に文章を読んだ時には、大樹の根元のうろに住むヤンバルクイナっぽい外見か、大樹の枝に住む梟みたいな外見かという印象を受けたのですが、死を予告する不吉さを前面に打ち出してみてこんな外見となりました。

聖天院は高句麗から渡来した高麗王若光の菩提寺として751年に建立された寺だそうです。オクポは玉浦の朝鮮読みとも受け取れ、日高市に716年に高麗郡が設置され各地の高麗人が移住してきたという背景からして、伝承の元は人間なのでしょうね。高麗人の血脈濃いし頃は聖天院で葬儀が行われる際に中国や朝鮮半島にある泣き女の風習が持ち込まれていて、それが形を変え死を予告する聖天院の鳴き声として伝わったかもしれないし、高麗人の作業の掛け声が形を変え向山の晴れの鳴き声と伝わったかもしれない・・・そう考えるとしっくりくるかも。まぁ、想像の域を出ない話ではあるけど。
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伝承妖怪お題絵:第9回
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布がらみ【ヌノガラミ】:青森県三戸郡田子町長坂に伝わる。長坂にある布沼の主といわれ、布に化けて沼のほとりの垣根にかかり、それを取ろうと近づいた人に絡み付いて沼に引き込んでしまうという。(森山泰太郎、北彰介『青森の伝説』)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の9月のお題。伝承によると布に化けて沼に人を引き込んでいた「何か」が鳩の卵を投げ入れられて死んで、正体が明らかになったそうなんだけど、その正体は書かれていないという。布は細長いであろう印象をうけるので大蛇としたほうがしっくりくるのでしょうけど、あえてカワウソにしてみました。尻尾を布に変化してるという設定です。

先月末にあった環境省がニホンカワウソを絶滅種に指定したというニュースが頭をよぎったので、何となく起用。