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画像妖怪お題絵:ふたつめ
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画像妖怪お題絵とはコチラをどうぞ。
http://yokaidoyukai.ho-zuki.com/tutomu/t...

アゴの目さん【あごのめさん】:元々は眉間に目がある普通の一つ目妖怪だったが、蕎麦の食べ方のマナーがなっとらんという咎で権現様によって目をアゴに移された。熱い蕎麦を食べると文字通り目の前を熱い麺が通ることになるのでとても食べにくい。


(↓)ここから下は補足。
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ある国に眉間から額の位置に大きな一つ目を持つ妖怪がいたそうな。
彼は蕎麦屋に立ち寄ると、熱々の蕎麦を五杯も六杯も平らげる。
その食べっぷりは気持ちよかったが、食べ方はせっかちで品が良いとは言えないのは誰しもが思うところであった。

ある時、一つ目の男は権現様と蕎麦屋で相席になった。

一つ目の男はいつものごとく蕎麦を注文しては啜っていたが、そのあさましい食べっぷりを見かねた権現様は「もう少し落ち着いて食べたらどうか」と言った。

「いやいや、あっしは蕎麦が大好きでねぇ。いてもたってもいられないんですよ。」蕎麦の先っぽを口の端から見せ、汁を撒き散らしながら男は答えた。そして食べ続けた。

権現様の堪忍袋の緒が切れた。
「そうか、そんなに蕎麦が好きなら、食べる時にもっと蕎麦が目に映るようにしてやろう。」

権現様がそう言うと、男の一つ目が顎に移動した。


それ以来、男は熱々の蕎麦をかきこむことは出来なくなった。なにせ、箸で蕎麦を口に持っていくと、文字通り目の前を蕎麦が通るのだ。熱気が目玉にしみる上、熱い麺や汁が飛んで大きな一つ目に入ると大事だ。幾度かの悶絶を経験したあと、一つ目の男は蕎麦を啜らず、ゆっくりと上品に食べるしかなくなった。

それでも蕎麦屋に出没し続けた彼は、いつしか「アゴの目さん」と呼ばれるようになった。ちなみに妖怪のくせに食べた分の御代はきっちり払っていく上に狐狸のように葉っぱに変わることもなく、害もなさないので蕎麦屋の主にとっては上得意だったそうである。


・・・という作り話でござい。
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画像妖怪お題絵:はじめ
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画像妖怪お題絵とはコチラをどうぞ。
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猪口九鬼【ちょこくっきー】:近くに捕食動物の気配も無いのに家畜が突然恐慌状態に陥る事があるが、それはこの妖怪が姿を消して追い立てているからという話がある。特に薩摩藩の豚の飼育場に現れるとされ、猪口令糖を細かく砕いたものを混ぜた乾蒸餅を供えると暫く現れなくなるという。


(↓)ここから下は補足。
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何かを追い立ててるポーズに見えたので家畜を追い立てる妖怪という設定にしました。「家畜の名前」と「鬼」を含めた駄洒落で思いついたのがコレでございます。猪=豚ね。説明文はクッキーの漢字がわからなかったので乾蒸餅(ビスケット)としています。どうでもいいけどクッキーとビスケットの分け方は日本のローカルルールみたいですね。


(↓)ここから下は脱線。
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(↑)国立歴史民族博物館の「百鬼夜行図(狩野洞雲画)」の彼は虎の尻尾が。
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(↑)東京大学の「百鬼夜行図(土佐行秀画 蔭山広迢模写)」の彼は腰布に葉っぱをつけていたり、片方の足と背中が獣の毛のようになっていたりと、見るからにエピソードがありそうな感じ。
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(↑)国際日本文化センターの絵巻物データベースで見ることの出来る「百鬼夜行図・下巻」の彼は鼻の穴だか口だかわからん冴えないお顔。ついてるのは犬の尻尾?
http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion...
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(↑)国際日本文化センターの絵巻物データベースで見ることの出来る「土佐光起 百鬼夜行之図」の彼はどことなく外人っぽい。
http://kikyo.nichibun.ac.jp/emakimono/im...


「妖怪絵巻」にも彼はいるし、
http://kikyo.nichibun.ac.jp/emakimono/im...
「化物婚礼絵巻」にも鼻が短いバージョンの彼がいますな。
http://www.nichibun.ac.jp/graphicversion...
それだけ描かれてなんで名前も性質も残ってないんだろう。
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熊本の妖怪
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アリエ:明治9年6月17日の『甲府日々新聞』にこうある。

肥後国青鳥郡の海に4本足の奇怪なものが現れ、夜になれば往来へ出て鱗を光らせながら歩くようになった。怪物は通る者を呼び止めるが、誰も寄り付こうとはせず、やがてその場所に人が寄り付かなくなった。旧熊本藩士柴田某が正体を見届けんと出向き、遭遇した怪物は「我こそは海中鱗獣の首魁にて名はアリエ」といった。アリエは六ヵ年の豊作とコレラの流行を予言し、難を避けるには自分の姿を描いたものを置いて信心するべしと告げて海に姿を消したそうな。同年9月30日の『長野新聞』にもこの記事が引用されているが、肥後に青鳥や青沼と称する地名はないので、妄説であると切捨てている。

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↑ちなみに新聞記事のアリエさんの図

四本足の獣とあるので、トドの頭部を人間の頭に置き換えたものとして描きました。「鱗光らせ」を「燐光」のイメージに置き換えてるけど気にしない。

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熊本の妖怪
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ガゴウゴジョウ:熊本県人吉市に伝わる。ガゴウゴジョウは山から来るお化けである。姿、形や大きさなど、詳細は不明であるという。(成城大学民俗学研究所『伝承文化』通巻十号「熊本県人吉市調査報告」)

「ガゴ」は妖怪を意味する言葉らしいです。こちらのサイトが参考になるかと思います。

「ガゴ」ノート
http://www4.ocn.ne.jp/~kitaz/documents/y...

人吉にはユキゴジョウという雪女の妖怪がいるそうです。「ユキ」は「雪」、「女」を「ゴジョウ」とするならば、ガゴウゴジョウとは女のガゴではないでしょうか。子供を怖がらせる言葉の中に名前のみが現代に伝わっていて、妖怪としての外見や性質は不明であることから、女性の特徴を持つ曖昧なものとして絵にしました。本音を言うと、山姥や山女の類として描くのが正解であろう気もします。

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熊本の妖怪
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御輿入道【みこしにゅうどう】:熊本県天草郡一町田村(現・天草市)では、見越し入道と発音は同じだが漢字表記の異なる御輿入道として伝承されている。下田の釜という地の一本道に現れるという身長5丈(約15メートル)の妖怪で、出遭った人を今にも嘗めるかのように舌なめずりをするという。ある者がこれに出遭い、一心に神を念じたところ、入道は神に恐れをなし、御輿のようなものに乗り、布を長く引いて山のほうへと飛び去ったという。(wikipediaの「見越し入道」の頁より。)


見越し入道というの妖怪の話を聞いた人が「御輿=見越し」の駄洒落がやりたくて話を膨らませた、そんな流れで出来た伝承ような気がします。故意じゃなくとも、伝言ゲームのように話が伝わっていくうちに誰かが適当に付加したものが残ったんじゃないでしょうかね。

一般的に見越し入道は狸や狐、狢の変化と言われていますが、御輿入道は御輿の付喪神とイメージすることもできるかもしれません。

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パラパラ地図:熊本県
http://mujina.sakura.ne.jp/history/43/in...
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熊本の妖怪
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のっぺらぼん【のっぺらぼん】:
2012年11月2日の重箱婆の記事も参照してください。
http://amakoma.sakura.ne.jp/diary/diary....

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むかしむかし、熊本城の近くの法華坂は、そりゃあ寂しいところでな、誰いうとなく そこには重箱婆が出るという噂が流れておったそうな。さて、その坂の上と下には茶店があってな、ある日の夕方、一人の旅人が坂の上の茶店に入ったげな。
  「そうそうおかみさん、ここが法華坂たいね」
旅人は団子を注文すると、店の奥にいるおかみさんに向ってこう聞いた。向こうを向いているおかみさんは、
  「はい、そぎゃんですたい」
と答えた。したら、
  「ここに重箱婆が出るという噂は本当かいな」
  「はい、出ますばい」 
  「ほう、いったいどぎゃんもな」
旅人は身をのりだして、向こうを向いているおかみさんに尋ねたそうな。するとな、おかみさんは突然、
  「重箱婆とは、こぎゃんとですたい」
ちゅうて、くるっと旅人の方を振り向いたんだと、したら なんとしたこと、その顔というんが、目も鼻も口もない、ノッペラポンではないか。旅人は目ん玉がとび出るほど驚(おどろ)いた。むちゅうで坂をかけおり、下の茶店にとびこんだんだと。中では娘が一人、せわしげに働いておった。旅人は真青になって娘にいうたと。
  「ああ恐ろしか、ねえさん、わしゃ、重箱婆ちゅうもんば初めて見た」
したら娘は、
  「お客さん、その重箱婆ちゅうんは、こぎゃんとだったですど」
と言うてこっちを振り向いたんじゃ、見るとその娘もまたノッペラポン。旅人はもう、魂も吹っ飛んで、やっとの事でそこを逃げ出したちゅう話じゃ。
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荒木精之・村田煕[著]『日本の民話22 肥後・薩摩・大隅篇』が元なんかな?小泉八雲の「怪談」の「むじな」、落語の「のっぺらぼう」の話そのままなんで熊本独自の妖怪という気が全然しない。

とりあえず頭に葉っぱを乗せて狸が化けてることをアピールしてみました。

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