Entries

Icon of admin
AMAKOMA-YA
伝承妖怪お題絵:第13回
20240301163840-admin.png

静か餅【シズカモチ】:下野益子辺では夜の丑時に「コツコツコツコツ」と、遠方で餅を搗く様な異音が人によって聞えるか聞えないことがある。その音が近づくのが聞えた人はシヅカモチを搗き込まれたといい、運が向いてくるという。音が遠ざかるのが聞えた人はシヅカモチを搗き出されたといい、運が行ってしまうという。さらにこの音を迎えて聞えた人は箕を後向いて出すと財産が入ってくるといわれる。(平島吾一『芳賀郡郷土研究報』一号「シズカモチの話」)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の1月のお題。搗(つ)き込まれるという表現からして杵と臼がセットなのかなー、という事でそのままのイメージで描きました。音の怪異ということでボケた感じにしています。

何かの自然現象が元となってるのでしょうね。音の表現のみから推測するとキツツキっぽいような気もしますが、基本的に鳥目だろうし・・・。もしかしたら夜行性の種や時間感覚が狂った個体がいたのかも。

それはさておき、音をたてる妖怪のくせに「静か」とはこれいかに。
Icon of admin
AMAKOMA-YA
熊本の妖怪
202403011635381-admin.png

蟹の火【かにのひ】:虚無僧が山間の谷を通っていると青白い火がやってきた。虚無僧は問答の末、蟹だと正体を言い当てて、尺八で打ちすえた。そのため蟹の甲羅にはそのあとが残っている。(濱田隆一『郷土研究』五巻三号「肥後天草島の民譚」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/064...

天草地方で蟹というと渡り蟹(ガザミの別名)が有名だそうです。地元ではガネと呼ばれているとか。この蟹かなー、と思ったのですが話の舞台は山間の谷だし、特にへこみや傷にみえる部分があるような甲羅でもないんですよね・・・。話の元となった蟹の種があるとは思うのですが、それが何なのか判りません。


【2013年1月9日21時20分追記】
-------------------------------------
twitterで氷厘亭氷泉さんから「カニの種類はどれだったんでしょうねー。ベンケイガニみたいなカニとかですかねぇ?」というコメントをいただき、調べてみたら目と目と間に棒状の溝があったので渡り蟹よりはそれっぽい!ということで修正して差し替えました。(※虚無僧に打ち据えられる直前を想定しているので、上の絵の蟹にはその溝は入れていません。)

20240301163538-admin.png
Icon of admin
AMAKOMA-YA
熊本の妖怪
202403011633301-admin.png

鼻延び【はなのび】:熊本県玉名郡に伝わる。暗くなりかける頃、魚売りが夫婦坂で若い女に会った。女が煙草の火を欲しがるので、煙管を差し出すと、女の鼻がにゅーっと伸びた。驚いて魚笊を捨てて家に逃げ帰ると、嬶に化け物に会ったことを話した。すると嬶の鼻もにゅーっと高くなった。魚売りは驚いて気絶してしまい、気がつくと夫婦坂で倒れていて、夜が明けかかっていた。(能田太郎『昔話研究』一巻五号「玉名郡昔話(四)」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/246...

「嬶」は「かかあ」と読みます。なんだか嬶の字面から膨らませた話のような臭いがプンプンするんだけど!

20240301163330-admin.png
Icon of admin
AMAKOMA-YA
熊本の妖怪
202403011630081-admin.png

さけん松【さけんまつ】:熊本県天草の御領と佐伊津の境に松があり、そばを通る人があると大きな足がぶら下がって驚かせたという。ある男がこの足を退治しようとしてぶら下がった足を刀で斬った。その後、自分の家の下男や乳母に出会ったので大きな足の話をしたところ、彼らは「これ位大きかったか」と言って自分の足を見せた。見る見るうちに大きくなったそれは松からぶら下がっていた大足とそっくりだった。男は化け物に降参し、翌日御馳走を持って松に供えた。一説によると、この松は御領の芳證寺にあるとも言う。「さけん」は「境」が訛ったものだそうな。

今回の妖怪はこちらのサイトの記述を参考にしています。
http://ariadneito.web.fc2.com/top/gojyuu...

http://www10.plala.or.jp/cotton-candy/mo...

20240301163008-admin.png
Icon of admin
AMAKOMA-YA
熊本の妖怪
202403011628311-admin.png

ホグラ:天草島でいう。河童の刧を経たもので、山に入ってクロソギという木の切株に棲むという。(『民俗語彙』)

ホグ・・・というと熊本や長崎、福岡などの方言で穴があく(あける)という意味があります。「そこを錐でほぐって=そこを錐で穴をあけて」・「靴下がほげた=靴下に穴があいた」という風に。ホグラに穴を開ける性質があると仮定してみたところ地面に穴をあけるモグラを連想したので、モグラと河童を掛け合わせた外見にしてみました。地面に盛り上がったモグラ道は木の根の盛り上がりに見間違えられることもあるし、木の根は幹に通じるという事で切り株に住まうと考えられるようになったとか・・・まぁ、真面目に妖怪を研究してる人には飛躍しすぎだと言われそうですけども。


あと、クロソギが特定の種類の樹木名の方言なのか、ただ切り株につけられた名なのか判らないのが気にはなります。描き上げておいて何ですが、素直に切り株とゲゲゲハウスを掛け合わせたような住処に老いた河童が暮らしてる絵を描いた方が良かったと思ったりも・・・。

20240301162831-admin.png
Icon of admin
AMAKOMA-YA
熊本の妖怪
202403011626461-admin.png

明神池の女河童【みょうじんいけのおんなかっぱ】:明神池には仲の良い男女の河童が暮らしていたが、男の河童は過ぎた悪戯を繰り返していた為に神の怒りに触れ遠くの池へと追放されてしまう。その事を知らない女の河童は、池の中の石の上で彼の帰りを待ち続けた。桜の咲く春から木枯らし吹き荒む冬になっても彼は帰ってくることはなかった。さらに年月が経ち、ついには女河童の姿も見られなくなったが、現在も残っている彼女が座っていた石の事を河童石と呼ぶようになったという。(明神池名水公園の看板の文面より)


明神池名水公園には女河童の像があります(作られたのは平成9年と新しいけど)。ポーズも岩の形状もそれをベースに描いています。

20240301162646-admin.jpg
(↑)ちなみにこんな像


20240301162646-admin.png