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AMAKOMA-YA
なんだか海外ドラマを観る時間が大幅に減ってる気がする今日この頃。まともに視聴してるのはFOXチャンネルのNCISくらい。そういえばFOXチャンネルのBONESなど数タイトルのDVDのコンパクトBOXが定価4990円で売られていますね(アマゾンで買うと4000円ちょいくらい)。20数話入ってこの値段はかなりお得です。NCISのは出ないのかなー。日本語吹き替えで派手にコケた感があるので厳しいかな。


それはさておき、前の日記で「舞-HiME」というアニメの感想を書きましたが、ウィキペディアで記事を眺めていたところ関連のところに「宇宙をかける少女」というアニメのタイトルがあったので続けて観ておりました。物語の導入から回の終わりの幕の引き方、情報の小出しの仕方など前半は神がかり的に面白いアニメでした。物語を最後まで観てみると明確には語られない背景も色々と読めたりします。

普段なら粗筋やネタバレを含むような感想は避けるのですが、なんだか語りたくて仕方がないので書きます。未見の人は以下の文章は注意の事。

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舞台は宇宙。人類の殆んどが宇宙コロニーに住まう世界。物語は、姉であり獅子堂財団総帥である獅子堂風音に結婚を言い渡され、逃げ出した主人公・獅子堂秋葉(17歳・女子高生)が、クラスメートに見つけてもらった家出先の潜伏場所に向かう途中に突如出現した人工知能を持った宇宙コロニー(ブレインコロニー)・レオパルドと出会うところから始まります。

50年前に宇宙の辺境で行われていた人工知能に管理された宇宙コロニーの開発の最中に、ブレインコロニー・ネルヴァルとそれに従うブレインコロニーが人間に反乱。熾烈な戦いの末に人間側についたブレインコロニー・レオパルドと獅子堂神楽を中心とする獅子堂評議会によって討伐されたものの、ネルヴァルの人工知能の部分は逃げ延びており50年の歳月をかけて復活。再びネルヴァルと戦う為に自己を修復しようとしているレオパルドのパートナー「宇宙をかける少女」に選ばれた獅子堂秋葉は流されるまま彼を手伝う事に、と序盤の粗筋はこんな感じ。


後半に差し掛かると少し面白さが失速するのですが、それには主人公である獅子堂秋葉のキャラクター付けが原因があると思います。彼女は「自分が何をやりたいかもわからず、無為に日々を過ごしていて、とりたてて突出した特技も無い」という主人公にあるまじきキャラクター。それゆえか物語の中心にいるようで実は物語を動かしているのは周囲の人間という不思議な展開が描かれています。

秋葉が人間管理用の箱(※中に入ったままだと食事をはじめ至れり尽くせりで外界のわずらわしさを感じずに閉じこもっていられる)に入れられた時に脱出するきっかけになったのは親友であるイモちゃんの必死の呼びかけだし、秋葉を助ける為に爆弾に特攻してネルヴァルに人間の善性を見せたのもイモちゃんだし、主人公サイドでネルヴァルとのファーストコンタクトを果たしたのも実は生きていたイモちゃんだし、ネルヴァルとの会話で彼が純粋な悪ではなく純粋に人間の事がわからなかったから洗脳や前述の箱詰めによる機械的管理を行ったのであって過ちを正す姿勢があり理解しあえる存在だと視聴者にしらしめたのもイモちゃん。一方で秋葉はネルヴァルの元にいるイモちゃんを助けにいこうとするものの簡単に風音に言いくるめられて納得しかけるしで、物語を通して精神的に殆んど成長しません。イモちゃんは将来の夢も展望もしっかりあって学習意欲もあって学校生活も充実していて善性に溢れる、秋葉よりもよっぽど前向きで主人公らしいキャラクター。秋葉自身が「私は宇宙をかける少女に向いていない」と呟くのも無理はありません。

あとひとつの失速の原因は、秋葉の影となる存在として描かれる予定であったであろう、ネルヴァル側についた「かつてはモデルとして成功していたけど心の弱さから挫折し、コンプレックスを肥大化させた」反抗期少女の妹ナミに対して秋葉が光の存在になり得なかった事にあると思います。最終的にナミは暴れるだけ暴れたあと、ネルヴァルの洗脳が解けた獅子堂神楽に倒されて「コンプレックスの源が他人に依存しなくては生きていけない弱い心にある」事を突きつけられるのですが、ここでも主人公の秋葉は不在です。秋葉が同じ台詞を吐いても説得力皆無なので仕方がないといえば仕方がないのですが主人公として空気すぎて感情移入のしようが無いという・・・。ついでにいうと、秋葉のパートナーであるレオパルドも最初から最後まで馬鹿のままで成長が殆んどありません。

物語として、たまにはこういう切り口のものがあって良いとは思うのですが、物語を最後まで観終わった後に秋葉以外のキャラクターに関しては「その後」を思い浮かべる事ができるけど・・・、というモヤモヤ感がぬぐえません。獅子堂秋葉のキャラクター付けはアニメを一番よく観るであろう層に対して結構辛辣であるとも思います。物語を通して一番感情移入できるのがイモちゃんとネルヴァルという不思議。作品としては大変に面白く、個人的な評価はAかな。