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熊本の妖怪
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重箱婆【じゅうばこばば】:熊本県玉名郡、宮崎県日向市に伝わる。古狸が重箱を手に持った老女に化けて現れたという。熊本ではさらに重箱婆が「重箱婆じゃ、ご馳走はいらんかえ」と言いながら、人に石のようなものを担がせるという。(wikipediaの「化け狸」の頁より。)

別の伝承によると、「重箱のご馳走はいらんかえ」と声をかけて相手が近づいてきたところに目も鼻も口も無いのっぺらぼんの顔を見せて驚かせたりもするそうです。伝承の中でハッキリと狸=重箱婆、重箱婆=のっぺらぼんと言われてるんですよね。「重箱婆」と「のっぺらぼん」を別妖怪として扱いたいんだけど、この記述のせいで悩みます。この狸に名前があれば良かったのに。

氷厘亭氷泉さんの和漢百魅缶によると「膝から足にかけて生えている目玉をみせたり」もするそうです。
http://www10.plala.or.jp/cotton-candy/mo...

老婆を顔無しにして足に目玉を描き入れようかとも思いましたが、女性の着物で生足をさらけだしてるのをイメージしにくかったのと、それをやると詰め込みすぎな気がしてこのような絵になりました。

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重箱婆の記述がある『昔話研究』一巻四号が刊行された昭和10年(1935年)当時の玉名郡は玉名市と荒尾市(ピンクの間の二つの地域)も含んで玉名郡なんですよね・・・。現在と本が書かれた当時では微妙に範囲が食い違うという。とりあえず熊本の妖怪の絵の下に地図をつけてはいるものの、現代の地域分けで色付けしてるのであまりアテにはならないかも。分離やら合併、時には地名変更もあるせいでややこしい。

パラパラ地図:熊本県
http://mujina.sakura.ne.jp/history/43/in...
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伝承妖怪お題絵:第10回
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オクポ:埼玉県日高町(現日高市)に伝わる。暗い大木に寝泊まりしていて、暮れ方になると鳴くという。子供がよく泣くとこれが来るという。オクポが聖天院で鳴くと人が死ぬが、向山で鳴くと晴れになり、いいことがあるという。(日高町教育委員会『日高町史 民俗編』)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の10月のお題。最初に文章を読んだ時には、大樹の根元のうろに住むヤンバルクイナっぽい外見か、大樹の枝に住む梟みたいな外見かという印象を受けたのですが、死を予告する不吉さを前面に打ち出してみてこんな外見となりました。

聖天院は高句麗から渡来した高麗王若光の菩提寺として751年に建立された寺だそうです。オクポは玉浦の朝鮮読みとも受け取れ、日高市に716年に高麗郡が設置され各地の高麗人が移住してきたという背景からして、伝承の元は人間なのでしょうね。高麗人の血脈濃いし頃は聖天院で葬儀が行われる際に中国や朝鮮半島にある泣き女の風習が持ち込まれていて、それが形を変え死を予告する聖天院の鳴き声として伝わったかもしれないし、高麗人の作業の掛け声が形を変え向山の晴れの鳴き声と伝わったかもしれない・・・そう考えるとしっくりくるかも。まぁ、想像の域を出ない話ではあるけど。
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熊本の妖怪
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犬神【いぬがみ】:狐憑き、狐持ちなどとともに、西日本に最も広く分布する犬霊の憑き物(つきもの)。近年まで、大分県東部、島根県、四国の北東部から高知県一帯においてなお根強く見られ、狐の生息していない四国を犬神の本場であると考える説もある。また、犬神信仰の形跡は、島根県西部から山口県、九州全域、さらに薩南諸島より遠く沖縄県にかけてまで存在している。宮崎県、熊本県球磨郡、屋久島ではなまって「インガメ」、熊本県人吉市では「インガミ」、種子島では「イリガミ」とも呼ばれる。(wikipediaの「犬神」の頁より。)


wikipediaの「犬神」の頁の続きを読んでもらえればわかると思うのですが、外見の伝承が地方地方で差異があってどうにもこうにも。とりあえずひょろ長くして、人間に取り憑いてる様を描いてみました。「若干大きめのネズミほどの大きさ」や「体長33センチくらいの蝙蝠に似た姿」を忠実に描いてしまうと見た目が怖くもなんともないような・・・。漫画風にイメージするなら、普段は小動物に取り憑いて生活(?)していて、人や馬や牛に害をなす時に宿主から凶暴な霊魂みたいなものが抜き出て対象に取り憑く、みたいな感じかな。

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愛知おもてなし妖怪隊
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twitterでやっている伝承妖怪お題絵・・・ではありません。番外編。

金釣瓶落とし【かなつるべおとし】:「愛知おもてなし妖怪隊」の金釣瓶落としの項目参照のこと。

「愛知おもてなし妖怪隊」【http://aichiyoukwaitai.web.fc2.com/】という活動をやってる方々がおられまして。twitterで相互フォローしていることもあって寄稿用に。

釣瓶で人をすくい上げるって難しそう。あらかじめ穴を掘って釣瓶を収めて表面をカムフラージュしておいて、人が落ちたら吊り上げる・・・という感じかな。
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熊本の妖怪
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山童【やまわろ、やまわらわ】:九州を始めとする西日本地方に伝わる童子姿の妖怪。河童が変化したもので、山間部に棲むといわれる。姿は10歳程度の童子のようで、頭には柿褐色の長い頭髪を生やし、全身が細かい毛に覆われている。胴は短く、2本の長い脚で直立して歩き、人の言葉を話すとされる。

熊本県南部ではガラッパが彼岸に山に入って山童になり、春の彼岸に川に戻ってガラッパになるという。このような河童と山童の去来を、田の神と山の神の季節ごとの去来、さらには夏季と冬季に二分される日本の季節に対応しているとする見方もある。熊本の葦北郡では山仕事が多いとき「山の若い衆に頼むか」と言って山童に頼むという。また礼をあげるときは飯でも魚でも、たとえ量が少なくても最初に約束した物でなければならないといい、そうしないと山童は怒るという。仕事の前に礼の食べ物をあげると食い逃げされてしまうという。(wikipediaの「山童」の頁より。)


妖怪の絵というと、この妖怪と言えばこの外見!という連中がいますが、それは色んな絵描きにその外見で描かれてきたからなんですよね。元々は口伝やわずかな記述といった曖昧な見てくれのモノが、同じ特徴を踏まえた幾つもの図を描かれることによって確固たるモノになるという。と、余談はさておき、鳥山石燕『画図百鬼夜行』の「山童」をベースに描きました。鳥山石燕は『画図百鬼夜行』を描く際に佐脇嵩之の『百怪図巻』を参考にしたらしいと言われていますが、佐脇嵩之の『山わろう』は子供っぽく描かれているのに、鳥山石燕の『山童』は見るからにオッサン。まぁ、ガラッパが変化するものなら年齢性別と個体差があってもいいのかも。ガラッパは手足が長いという外的特徴があって、前にガラッパの絵を描いた時に身長が人間と同程度ならば、そのぶん胴は短いのではなかろうかと書き添えたけど、山童は外的特徴として胴が短いんだよねぇ。普通の体型で描いちゃったけど。

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伝承妖怪お題絵:第9回
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布がらみ【ヌノガラミ】:青森県三戸郡田子町長坂に伝わる。長坂にある布沼の主といわれ、布に化けて沼のほとりの垣根にかかり、それを取ろうと近づいた人に絡み付いて沼に引き込んでしまうという。(森山泰太郎、北彰介『青森の伝説』)

twitterでやっている伝承妖怪お題絵の9月のお題。伝承によると布に化けて沼に人を引き込んでいた「何か」が鳩の卵を投げ入れられて死んで、正体が明らかになったそうなんだけど、その正体は書かれていないという。布は細長いであろう印象をうけるので大蛇としたほうがしっくりくるのでしょうけど、あえてカワウソにしてみました。尻尾を布に変化してるという設定です。

先月末にあった環境省がニホンカワウソを絶滅種に指定したというニュースが頭をよぎったので、何となく起用。
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愛知おもてなし妖怪隊
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twitterでやっている伝承妖怪お題絵・・・ではありません。番外編。

山都【みこしにうどう】:「愛知おもてなし妖怪隊」の山都の項目参照のこと。

「愛知おもてなし妖怪隊」【http://aichiyoukwaitai.web.fc2.com/】という活動をやってる方々がおられまして。twitterで相互フォローしていることもあって寄稿用に。近道しようとしてすすき野に出て怪異に遭遇したのだから、本当は一面のすすき野を描くべきだったのでしょうが、間違えて街道そのまま描いちゃった。
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熊本の妖怪
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山女【やまおんな】:東北地方、岡山県、四国、九州など、ほぼ全国各地に伝わっている。山女の名は民俗資料、中世以降の怪談集、随筆などに記述がある。

各伝承により性質に差異はあるものの、多くは長い髪を持つ色白の美女とされる。服装は半裸の腰に草の葉の蓑を纏っているともいうが、樹皮を編んだ服を着ている、十二単を着た姿との説もある。

熊本県下益城郡でいう山女は、地面につくほど長い髪に節を持ち、人を見ると大声で笑いかけるという。あるときに山女に出遭った女性が笑いかけられ、女性が大声を出すと山女は逃げ去ったが、笑われた際に血を吸われたらしく、間もなく死んでしまったという。(wikipediaの「山姫」の頁より。)


笑いかけて相手の気を引いてる隙に髪の毛を刺して髪の毛が血を吸う、というイメージで描きました。櫛を持たせて熊本の山女である事をアピール。

正体は狂った女性と言われていますが、狂っていなくとも、嫁いだ先の待遇が酷くて逃げ出したものの故郷に戻ることも許されなかったり(昔は女性の身分が低かった上に体裁もあったろうし)、災害や疫病で家族を失って天涯孤独になったところを悪人に土地や家を奪われて流浪の身になったり、そんなサバイバル生活を余儀なくされた女性もベースになってるんじゃないかな。十二単を着た山女は流刑になった貴人だったり、勘当された貴人だったり、謀略に巻き込まれて山に捨てられた貴人だったり。

背景はwikipediaの「山姫」の頁にある鳥文斎栄之・画『模文画今怪談』より、下野那須野(現・栃木県)で討ち取られた山女の図の背景を部分的に模写しています。

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熊本の妖怪
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twitterでやっている伝承妖怪お題絵・・・ではありません。番外編。

さがり【さがり】:岡山県邑久郡に伝わる妖怪。馬の首だけの姿をしており、路傍の古いエノキの木からぶら下がった状態で現れる。鳴き声をあげたりして、暗い夜道を歩いている人などを脅かすともいう。正体は、道中で病死した馬の霊が木に宿ったものとの説がある。

熊本県でも同様の怪異があり、南ノ関町大字関下宇迎町(現・玉名郡南関町)では旧道のはずれにある柿の木から、玉名村大字玉名字岡(現・玉名市)ではエノキの木から馬の首がぶら下がるという。これを目にした者は熱病を患ってしまうとして、人々から恐れられていたという。(wikipediaの「さがり(妖怪)」の頁より。)


玉名郡南関町バージョンで。昔の事だから、死んだ馬を余すところ無く利用しようとして解体してたところに、他所の土地の人が通りかかって妖怪伝承になったんじゃなかろうかと思うけど、どうだろう。

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熊本の妖怪
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twitterでやっている伝承妖怪お題絵・・・ではありません。番外編。

木心坊(きしんぼう)は、肥後国(現・熊本県)に伝わる妖怪。ツバキの木を材料にしてすりこぎを作ると、ツバキの木が変化して生まれるといわれる。(wikipediaの「古椿の霊」の頁より。)

擂粉木には僧侶の隠語があるので、すり鉢を被せて托鉢僧にしてみました。伝承からは戒めから生まれた妖怪のような印象を受けますよね。一般的に擂粉木に用いられる木の種類は山椒が上質とされて、他に檜も用いられますが、椿は向かないのでしょうかね?家具や食器、木槌に使われるので強度的には問題なさそうなんだけど。単に古椿は化けるという迷信を受けてのものなのかなぁ。

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