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2012年12月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
熊本の妖怪
明神池の女河童【みょうじんいけのおんなかっぱ】:明神池には仲の良い男女の河童が暮らしていたが、男の河童は過ぎた悪戯を繰り返していた為に神の怒りに触れ遠くの池へと追放されてしまう。その事を知らない女の河童は、池の中の石の上で彼の帰りを待ち続けた。桜の咲く春から木枯らし吹き荒む冬になっても彼は帰ってくることはなかった。さらに年月が経ち、ついには女河童の姿も見られなくなったが、現在も残っている彼女が座っていた石の事を河童石と呼ぶようになったという。(明神池名水公園の看板の文面より)
明神池名水公園には女河童の像があります(作られたのは平成9年と新しいけど)。ポーズも岩の形状もそれをベースに描いています。
(↑)ちなみにこんな像
明神池の女河童【みょうじんいけのおんなかっぱ】:明神池には仲の良い男女の河童が暮らしていたが、男の河童は過ぎた悪戯を繰り返していた為に神の怒りに触れ遠くの池へと追放されてしまう。その事を知らない女の河童は、池の中の石の上で彼の帰りを待ち続けた。桜の咲く春から木枯らし吹き荒む冬になっても彼は帰ってくることはなかった。さらに年月が経ち、ついには女河童の姿も見られなくなったが、現在も残っている彼女が座っていた石の事を河童石と呼ぶようになったという。(明神池名水公園の看板の文面より)
明神池名水公園には女河童の像があります(作られたのは平成9年と新しいけど)。ポーズも岩の形状もそれをベースに描いています。
(↑)ちなみにこんな像
熊本の妖怪
濡女【ヌレオンナ】:阿蘇では、ヌレオンナが各地に出るという。水のほとりに現れる濡れ髪の怪女で、人間に取り憑いて血を吸うと言われる。中年の女で蛇身だと考えられている。特に栃木温泉の対岸の薬師堂に出るのだという。(丸山学・熊本民俗民族学会『みんぞく』通巻十四号「山の神その他」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/220...
鳥山石燕タイプだと人間の頭部に蛇体、それに人間の腕が生えてるんだけど、人間の頭部と蛇体のみの佐脇嵩之タイプのほうで。
濡女【ヌレオンナ】:阿蘇では、ヌレオンナが各地に出るという。水のほとりに現れる濡れ髪の怪女で、人間に取り憑いて血を吸うと言われる。中年の女で蛇身だと考えられている。特に栃木温泉の対岸の薬師堂に出るのだという。(丸山学・熊本民俗民族学会『みんぞく』通巻十四号「山の神その他」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/220...
鳥山石燕タイプだと人間の頭部に蛇体、それに人間の腕が生えてるんだけど、人間の頭部と蛇体のみの佐脇嵩之タイプのほうで。
熊本の妖怪
ユキゴジョウ:熊本県人吉市に伝わるユキゴジョウは雪女のことで、雪が降り始めると、どこからかやってきて、吹雪の中をさまよっているのだという。(成城大学民俗学研究所『伝承文化』通巻十号「熊本県人吉市調査報告」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/134...
雪の中をさまよってるという事で狂い女っぽく。剃髪頭にしたのは松井家に伝わる「百鬼夜行絵巻」に描かれている雪女が剃髪頭(尼さん?)だったのが印象に強かったから。
(↑)ちなみにこんな感じ。
ユキゴジョウ:熊本県人吉市に伝わるユキゴジョウは雪女のことで、雪が降り始めると、どこからかやってきて、吹雪の中をさまよっているのだという。(成城大学民俗学研究所『伝承文化』通巻十号「熊本県人吉市調査報告」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/134...
雪の中をさまよってるという事で狂い女っぽく。剃髪頭にしたのは松井家に伝わる「百鬼夜行絵巻」に描かれている雪女が剃髪頭(尼さん?)だったのが印象に強かったから。
(↑)ちなみにこんな感じ。
熊本の妖怪
いっちょ目【いっちょめ】:熊本県玉名郡に伝わる。甘藷を掘って馬に積んで帰る途中いっちょ目に男が襲われた。逃げた男は小屋に隠れ、追跡を諦めて寝てしまったいっちょ目に小便をかけると、いっちょ目は夕立が降ってきたといい、屁をひると雷が鳴っているといった。最後には小屋に火をつけられていっちょ目は焼き殺される。(関敬吾『旅と伝説』九巻四号「牛方山姥の昔話―逃鼠昔話の一類型として―」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/123...
いっちょ目タン、なんてお馬鹿な子・・・!!
『旅と伝説』九巻四号が刊行された昭和11年(1936年)当時の玉名郡は玉名市と荒尾市(ピンクの間の二つの地域)も含んで玉名郡なんですよね・・・。現在と本が書かれた当時では微妙に範囲が食い違うという。とりあえず熊本の妖怪の絵の下に地図をつけてはいるものの、現代の地域分けで色付けしてるのであまりアテにはならないかも。分離やら合併、時には地名変更もあるせいでややこしい。
パラパラ地図:熊本県
http://mujina.sakura.ne.jp/history/43/in...
いっちょ目【いっちょめ】:熊本県玉名郡に伝わる。甘藷を掘って馬に積んで帰る途中いっちょ目に男が襲われた。逃げた男は小屋に隠れ、追跡を諦めて寝てしまったいっちょ目に小便をかけると、いっちょ目は夕立が降ってきたといい、屁をひると雷が鳴っているといった。最後には小屋に火をつけられていっちょ目は焼き殺される。(関敬吾『旅と伝説』九巻四号「牛方山姥の昔話―逃鼠昔話の一類型として―」)
http://www.nichibun.ac.jp/YoukaiCard/123...
いっちょ目タン、なんてお馬鹿な子・・・!!
『旅と伝説』九巻四号が刊行された昭和11年(1936年)当時の玉名郡は玉名市と荒尾市(ピンクの間の二つの地域)も含んで玉名郡なんですよね・・・。現在と本が書かれた当時では微妙に範囲が食い違うという。とりあえず熊本の妖怪の絵の下に地図をつけてはいるものの、現代の地域分けで色付けしてるのであまりアテにはならないかも。分離やら合併、時には地名変更もあるせいでややこしい。
パラパラ地図:熊本県
http://mujina.sakura.ne.jp/history/43/in...
熊本の妖怪
轆轤首【ろくろくび】:此頃絶岸和尚といふ僧西國行脚の折から肥後へ行て、しころ村といふ所に一宿せられしに軒あばらなるかり枕、風冷しく吹落て夢もまどらかならざりければ夜更まで念佛稱名して居たまひしに、うしみつばかりに其屋の女房の首むくろよりぬけて、窗の破れより飛出ぬ。あやしと思ひて念頃に見れば其首の通ひしあとに白きすじのやうなるもの見えたり。是こそ轆轤首よとおそろしく、誠に過去の業因までおしはからるゝに夜明かたになりて其すじ動くやうにて又もとの處より彼首かへり、につこと笑ふやうにておのがふしどに入ぬ。夜明て其女房を見れば、首のまはりに筋あるやうにて別のかはりなし。(山岡元隣『古今百物語評判』)
首が伸びるタイプの轆轤首ではなく、首が抜け落ちる飛頭蛮タイプの轆轤首ですね。それにしても、泊めてもらってる立場のくせに、風うるさいし寒いし寝られないので夜更けまで念仏唱え続けるって、絶岸和尚さん迷惑すぎる。家の女房がろくろ首になったのは、「うるせークソ坊主、夜中に騒音たてんじゃねー!眠りたい人間もいるんじゃー!」という無言の抗議。多分そう。きっとそう。
轆轤首【ろくろくび】:此頃絶岸和尚といふ僧西國行脚の折から肥後へ行て、しころ村といふ所に一宿せられしに軒あばらなるかり枕、風冷しく吹落て夢もまどらかならざりければ夜更まで念佛稱名して居たまひしに、うしみつばかりに其屋の女房の首むくろよりぬけて、窗の破れより飛出ぬ。あやしと思ひて念頃に見れば其首の通ひしあとに白きすじのやうなるもの見えたり。是こそ轆轤首よとおそろしく、誠に過去の業因までおしはからるゝに夜明かたになりて其すじ動くやうにて又もとの處より彼首かへり、につこと笑ふやうにておのがふしどに入ぬ。夜明て其女房を見れば、首のまはりに筋あるやうにて別のかはりなし。(山岡元隣『古今百物語評判』)
首が伸びるタイプの轆轤首ではなく、首が抜け落ちる飛頭蛮タイプの轆轤首ですね。それにしても、泊めてもらってる立場のくせに、風うるさいし寒いし寝られないので夜更けまで念仏唱え続けるって、絶岸和尚さん迷惑すぎる。家の女房がろくろ首になったのは、「うるせークソ坊主、夜中に騒音たてんじゃねー!眠りたい人間もいるんじゃー!」という無言の抗議。多分そう。きっとそう。
伝承妖怪お題絵:第12回
煤け提灯【ススケジョーチン】:新潟県に伝わる。暑苦しく、雨の降る晩に、火の玉がフワリフワリと飛び回る。葬式の時の湯灌で使った湯の捨場から飛び出すという。(『高志路』五巻十一号「地言葉と農民生活(三二)(送葬篇)」)
twitterでやっている伝承妖怪お題絵の12月のお題。「煤け提灯」という名は、煤けた提灯越しに見えるようなぼんやりした明るさの怪火ゆえなのだと解釈しました。提灯模様は必要ないと思いましたが、名は体を表すということで描き込みをば。
ただ困ったのが湯灌の湯の捨て場。ざっと検索にかけたところ、床下などの日のあたらない所に捨てるとあるのですが・・・。これって一般家庭の話かな?怪火が発生するほどとなると、日常的に湯が捨てられていた、すなわち寺の一角に捨て場があるものとして描いています。剃った毛髪も一緒に捨てられてる、みたいな感じで。
煤け提灯【ススケジョーチン】:新潟県に伝わる。暑苦しく、雨の降る晩に、火の玉がフワリフワリと飛び回る。葬式の時の湯灌で使った湯の捨場から飛び出すという。(『高志路』五巻十一号「地言葉と農民生活(三二)(送葬篇)」)
twitterでやっている伝承妖怪お題絵の12月のお題。「煤け提灯」という名は、煤けた提灯越しに見えるようなぼんやりした明るさの怪火ゆえなのだと解釈しました。提灯模様は必要ないと思いましたが、名は体を表すということで描き込みをば。
ただ困ったのが湯灌の湯の捨て場。ざっと検索にかけたところ、床下などの日のあたらない所に捨てるとあるのですが・・・。これって一般家庭の話かな?怪火が発生するほどとなると、日常的に湯が捨てられていた、すなわち寺の一角に捨て場があるものとして描いています。剃った毛髪も一緒に捨てられてる、みたいな感じで。
画像妖怪お題絵:ふたつめ
画像妖怪お題絵とはコチラをどうぞ。
http://yokaidoyukai.ho-zuki.com/tutomu/t...
アゴの目さん【あごのめさん】:元々は眉間に目がある普通の一つ目妖怪だったが、蕎麦の食べ方のマナーがなっとらんという咎で権現様によって目をアゴに移された。熱い蕎麦を食べると文字通り目の前を熱い麺が通ることになるのでとても食べにくい。
(↓)ここから下は補足。
-------------------------------------
ある国に眉間から額の位置に大きな一つ目を持つ妖怪がいたそうな。
彼は蕎麦屋に立ち寄ると、熱々の蕎麦を五杯も六杯も平らげる。
その食べっぷりは気持ちよかったが、食べ方はせっかちで品が良いとは言えないのは誰しもが思うところであった。
ある時、一つ目の男は権現様と蕎麦屋で相席になった。
一つ目の男はいつものごとく蕎麦を注文しては啜っていたが、そのあさましい食べっぷりを見かねた権現様は「もう少し落ち着いて食べたらどうか」と言った。
「いやいや、あっしは蕎麦が大好きでねぇ。いてもたってもいられないんですよ。」蕎麦の先っぽを口の端から見せ、汁を撒き散らしながら男は答えた。そして食べ続けた。
権現様の堪忍袋の緒が切れた。
「そうか、そんなに蕎麦が好きなら、食べる時にもっと蕎麦が目に映るようにしてやろう。」
権現様がそう言うと、男の一つ目が顎に移動した。
それ以来、男は熱々の蕎麦をかきこむことは出来なくなった。なにせ、箸で蕎麦を口に持っていくと、文字通り目の前を蕎麦が通るのだ。熱気が目玉にしみる上、熱い麺や汁が飛んで大きな一つ目に入ると大事だ。幾度かの悶絶を経験したあと、一つ目の男は蕎麦を啜らず、ゆっくりと上品に食べるしかなくなった。
それでも蕎麦屋に出没し続けた彼は、いつしか「アゴの目さん」と呼ばれるようになった。ちなみに妖怪のくせに食べた分の御代はきっちり払っていく上に狐狸のように葉っぱに変わることもなく、害もなさないので蕎麦屋の主にとっては上得意だったそうである。
・・・という作り話でござい。
画像妖怪お題絵とはコチラをどうぞ。
http://yokaidoyukai.ho-zuki.com/tutomu/t...
アゴの目さん【あごのめさん】:元々は眉間に目がある普通の一つ目妖怪だったが、蕎麦の食べ方のマナーがなっとらんという咎で権現様によって目をアゴに移された。熱い蕎麦を食べると文字通り目の前を熱い麺が通ることになるのでとても食べにくい。
(↓)ここから下は補足。
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ある国に眉間から額の位置に大きな一つ目を持つ妖怪がいたそうな。
彼は蕎麦屋に立ち寄ると、熱々の蕎麦を五杯も六杯も平らげる。
その食べっぷりは気持ちよかったが、食べ方はせっかちで品が良いとは言えないのは誰しもが思うところであった。
ある時、一つ目の男は権現様と蕎麦屋で相席になった。
一つ目の男はいつものごとく蕎麦を注文しては啜っていたが、そのあさましい食べっぷりを見かねた権現様は「もう少し落ち着いて食べたらどうか」と言った。
「いやいや、あっしは蕎麦が大好きでねぇ。いてもたってもいられないんですよ。」蕎麦の先っぽを口の端から見せ、汁を撒き散らしながら男は答えた。そして食べ続けた。
権現様の堪忍袋の緒が切れた。
「そうか、そんなに蕎麦が好きなら、食べる時にもっと蕎麦が目に映るようにしてやろう。」
権現様がそう言うと、男の一つ目が顎に移動した。
それ以来、男は熱々の蕎麦をかきこむことは出来なくなった。なにせ、箸で蕎麦を口に持っていくと、文字通り目の前を蕎麦が通るのだ。熱気が目玉にしみる上、熱い麺や汁が飛んで大きな一つ目に入ると大事だ。幾度かの悶絶を経験したあと、一つ目の男は蕎麦を啜らず、ゆっくりと上品に食べるしかなくなった。
それでも蕎麦屋に出没し続けた彼は、いつしか「アゴの目さん」と呼ばれるようになった。ちなみに妖怪のくせに食べた分の御代はきっちり払っていく上に狐狸のように葉っぱに変わることもなく、害もなさないので蕎麦屋の主にとっては上得意だったそうである。
・・・という作り話でござい。
ホグラ:天草島でいう。河童の刧を経たもので、山に入ってクロソギという木の切株に棲むという。(『民俗語彙』)
ホグ・・・というと熊本や長崎、福岡などの方言で穴があく(あける)という意味があります。「そこを錐でほぐって=そこを錐で穴をあけて」・「靴下がほげた=靴下に穴があいた」という風に。ホグラに穴を開ける性質があると仮定してみたところ地面に穴をあけるモグラを連想したので、モグラと河童を掛け合わせた外見にしてみました。地面に盛り上がったモグラ道は木の根の盛り上がりに見間違えられることもあるし、木の根は幹に通じるという事で切り株に住まうと考えられるようになったとか・・・まぁ、真面目に妖怪を研究してる人には飛躍しすぎだと言われそうですけども。
あと、クロソギが特定の種類の樹木名の方言なのか、ただ切り株につけられた名なのか判らないのが気にはなります。描き上げておいて何ですが、素直に切り株とゲゲゲハウスを掛け合わせたような住処に老いた河童が暮らしてる絵を描いた方が良かったと思ったりも・・・。